地元、福岡県朝倉市の特産「三奈木砂糖」。
当店では、たくさんのお菓子に三奈木砂糖を使用しています。
特徴
三奈木砂糖は、日本独自の製法で作られる粗目の黒砂糖で、香り高くコクがある味わいが特徴です。精製度合いが低く、天然のミネラル分が豊富に含まれており、砂糖本来の風味を楽しむことができます。また、三奈木砂糖を使用したお菓子は、独特の風味と深い味わいが楽しめます。
三奈木砂糖の製造過程
さとうきびの栽培
春にさとうきびの苗を植え、収穫は11月初旬です。少し寒が入ってくるとさとうきびに甘味が入ってきます。およそ3メートルにも伸びた高さのサトウキビをカマで1本ずつ葉を落とす作業は重労働です。一本ずつ綺麗に汚れを落とし、やっと黒糖・三奈木砂糖の精糖準備ができます。栽培にも農薬や化学肥料を使用しないなど、地域や文化への誇りが感じられます。
砂糖の伝統的な搾り出し方法
まず、洗ったさとうきびを圧搾機で搾り出します。搾った汁を沈殿させて不純物を取り除き、1番釜2番釜3番釜と過熱しながらアクを取り煮詰めていきます。この工程を一昼夜かけて繰り返します。煮詰めていく時の火は「薪の火」 昔ながらの製法を守り決して効率化に走らないのは、伝統を守りつなぐためです。
手作業で丁寧に仕上げる
煮詰める作業が終わると鍋に移し、空気を含ませるようにかき混ぜていきます。煮詰まりすぎないように、さっくりとした黒糖に仕上がるように、ひと釜ひと釜丁寧に人の手でかき混ぜて仕上げていきます。
砂糖起こし
この地域では砂糖起こしといって、容器に流し入れられた三奈木砂糖の容器を返して固まった黒糖をほぐしていきます。三奈木砂糖はとても糖蜜の多い黒糖ですので、力のいる作業です。扱いやすい大きさにほぐされた黒糖をカップや袋に詰めていきます。
三奈木砂糖との出会い
ストーリー 1
三奈木砂糖の栄華と衰退
文政年間から旧藩の特産品として栄えた三奈木砂糖。その最盛期には、12台の砂糖しぼり用水車が稼働し、約五百ヘクタールの砂糖きび畑が三奈木地区を中心に広がっていました。しかし、輸入砂糖や奄美・沖縄産と比べて価格面で太刀打ちできず、かつて甘木地方の得意先であった飴屋が次々と姿を消しました。その結果、昭和49年頃には三奈木砂糖の生産は途絶えてしまったのです。
ストーリー 2
再生への決意と意外な出会い
床嶋政義という名の店主が、かつて栄えた郷土特産品である三奈木砂糖を使った棒飴を作りたいという熱い思いを抱きました。しかし、どこかで生産している場所はないかと探し回っても見つかりませんでした。そんな中、床嶋政義は偶然にも池田七郎という名の農協勤務の方と出会いました。池田七郎は、ぜんそくの奥様のために畑の隅にわずかな砂糖きびを植えて三奈木砂糖を作っていたのです。
ストーリー 3
生産再開への道のり
床嶋政義は池田七郎から三奈木砂糖の存在を知り、責任を持って買い取ると約束しました。その後、床嶋政義は積極的に甘木市農協(当時の羽野営農部長も含めて)に生産再開を働きかけました。池田七郎や宮原一郎をはじめとする生産者有志、甘木市農協の力を結集し、【幻の三奈木砂糖】は8年ぶりに市場に復活することとなりました。1982年、再び三奈木砂糖の甘い香りが広がったのです。